2010年11月21日日曜日

フレーザー島は雨模様!

久しぶりに世界遺産の砂の島、フレーザー島からのPJ便りです。

昨日の午後、ブリスベンを出て車でおよそ4時間。リバーヘッドからフェリーに乗り換え、フレーザー島のエコリゾート、キングフィッシャーベイリゾート&ビレッジにやってきました。残念ながら、途中で雨が降り始め、島に到着の頃はすっかり雨もよう。
とにかく、今日は晴れて、、、と願うような気持ちで朝を迎えたところ、屋根を打つ飛んでもない激しい雨の音。今日は、朝の満潮時に視察に来た方を連れてマングローブまでカヌーツアーを実施する予定。でもこの天気ではちょっと無理! とほとんどあきらめていました。

ところがところが、ツアー開始8時少し前になったら雨がぴったと止んだのです。
何というタイミング、、、。レンジャーのキャサリンを先頭に、UKから来たご夫婦と、キャンベラに滞在中の外交官?らしいドイツ人、オーストラリアから参加したご夫婦、そして日本人の女性2名とでいざ、出発。天気こそ、クィーンズランドらしい日差しには恵まれなかったものの、風もなく海は完ぺきななぎ状態。しかも日差しがない分、暑くもなく、写真を撮るにもどちらからも影にならないという最高のコンディション。


レンジャーのキャサリンが途中で、日本人女性のカヌーに乗り換えでマングローブの林の中へ。ここフレーザー島にはマングローブが群生している場所が多くあり、島の生態系の重要な役割を果たしています。汽水域に生育するマングローブにより、小魚や甲殻類の絶好の生息場所を提供しています。満潮時のみ、この林の中をカヌーでゆっくりと入っていくことができます。




どこにでも根を伸ばして成長するレッドマングローブや、大きな木のように広がって森を作るオレンジマングロープはまさにこれから花の時期を迎えます。そして小さな白い花を咲かせるグレーマングローブなど、マングローブの品評会のような林は野鳥の宝庫でもあります。

フレーザー島は、340種を超える野鳥が確認されていますが、様々な植生を持つフレーザー島にはそれぞれの植生に集まる野鳥がいて、多様な種類の野鳥が観測できることからもバードウォッチングパラダイスです。


カヌーツアーは、フレーザー島にいらしたら、ぜひおすすめしたいアクティビティーのひとつです。若い方だけでなく年配の方にも安心して参加できますし、島を海から間近で見れる絶好の機会です。マングローブの林の中をカヌーで静かに進んでいく気分はまさに島の魅力を独り占めした気分になれます。今日、参加された方も皆さん大満足でした。

キャンベラから参加したドイツ人の男性の方は、先週の金曜日からリゾートに滞在し、カヌーツアーはすでに2回目。この日の午後は一緒に来ている家族とまた参加したいとのことでした。あなたもきっと病みつきになること間違いなしですよ。

2010年11月13日土曜日

地域の暮らしを守ることが地域らしさを保つこと。それが地域の宝!

日豪環境ボランティアプログラム報告  その5

10月27日(水曜日)

日 本国内とオーストラリアから参加した環境ボランティアのメンバーにとって、今日はボランティア作業も終わって、地元の方との交流などを楽しむレジャー デー。


紅葉も進んで下から見ているだけで、きっと素晴らしい紅葉が見られるだろうと期待していた白山林道は昨晩の雪のために通行止めに、、、。残 念ながら、紅葉の真ん中に行くことは出来ませんでしたが、その代わりに遠くから冠雪した山並みを楽しみました。




山の上ではまだ雪が降っていたようで朝は 雲っていて、気温も3度。その後、次第に晴れ間も見えて見事な景色が見られました。山は着々と冬へと突入し、里でも秋が深まっていくそんな感じで、昨晩か ら今朝にかけてまさに季節が変わったと実感しました。




昼食は、地元の方に自分の家の畑で取れた食材を調理して、地元 の秋ならではの料理を準備していただきました。「人に角を見せない、、、」というお母さんの教えで必ずおにぎりは丸くにぎるという さとうさんの説明を 聞きながら、地域の暮らしから生まれた食文化を堪能しました。




地域ならではの暮らしの中には、今では既に継承者もい なくなって失いかけているものもあります。その中のひとつが、かつてはどこの家でも冬場や夜の作業としておこなっていたヒデ細工があります。
ヒデとは、地 元でカエデやサクラなどの冬の雪に埋もれても折れずにしなる木を上手に短冊状のヒモ状にしたもので、これを上手に編んでカゴや道具入れなどを作っていまし た。そして一年使うとまた新しい年に新しいものを作るという作業を続けてきたそうです。




地元で唯一人のヒデ細工の達人に一番簡単なヒデ細工のカゴの作り方を教えていただきました。(とはいえ、私たちには大変な作業でしたが、、、。)








何と参加した人達の中で一番器用にこのカゴを作ったのは、オーストラリアから参加したステーシー。得意げにポーズ!


冬の厳しい環境の中で人々は知恵を使って、助け合いながら巧みに生活を続けていた白川郷。
世界遺産に指定されているのは、合掌造りの家だけでなくそこで今も昔と同じように生活を続けている村の人達の存在も含めて、世界遺産の価値として評価されています。
人が住むことによって守られる合掌の家、また人が使うことで保全される里山。また使い続けることで継承されていく工芸品など。人が介在することで守られている地域らしさのあり方を再確認した環境ボランティアプログラムでした。



地元の方の多くのご協力によって、4回目の日豪環境ボランティアプログラムも無事終了しました。来年もまたどこかの地域で環境ボランティアプログラムを通し て、地域の方と一緒に”地域らしさ”とは、また本当の”日本らしさ”とは何かを日豪両国からのボランティア参加者と共に体験することを楽しみにしています。今回のプログラムにご参加いただいた方、プログラムの実施にご協力いただいた皆様、ありがとうございました。


(日豪環境ボランティアプログラム報告 終)

2010年11月10日水曜日

茅場を広げる作業で里山保全

日豪環境ボランティアプログラム報告 その4

10月26日(火曜日)
白川郷の茅葺屋根の家を保存していくために重要なのは十分な茅の供給と茅葺作業をする人。どちらも現在では激減し、維持が大変になってきています。かつては、秋の風物詩だった茅刈りの作業も、人手不足と茅葺屋根の家の減少から少なくなってしまっています。それでも、定期的に茅刈りを行わないと、茅場はどんんどん衰退してしまうのだそうです。

そこで、ボランティア活動の4日目は、初日に行った茅場を拡張するために、既に他の植物によって占領されている場所をいったんきれいに刈り込む作業を手伝いました。



作業を始める前に、どうしてこの作業が必要なのかの説明を受けました。





茅場は茅の獲得だけでなく、人と野生動物が共存するためのバッファだったということです。野生動物はこのバッファより中に入っては人間がいて危険とそれ以上立ち入らなかったのが、茅場が荒れて山の様相と変わらなくなると野生動物も自分の生息区域と人の生活区域と区別がつかなくなり、その結果、人家のすぐ近くで野生動物を見ることにつながるのだそうです。




かつて、里山では人が使うことで守られていた自然がありました。それが生活の様式の変化によって使わなくなったことで荒れてきてしまっている現実がありました。日本の自然環境はこうした里山を人の手を入れて守っていくことで、生物多様性を保持し、かつての風景を保全することができるのです。そのためには、里山を持続的に活用することも大きな課題です。

オーストラリアから参加したボランティアメンバーと

お天気にはどうも見放されている環境ボランティアプログラムでしたが、この日も雨にも負けず作業を行いました。気温もかなり下がってきてこの日の夜、白川郷の周辺の山では雨が雪に変わりました。

(日豪環境ボランティアプログラム その5へ続く)

2010年11月4日木曜日

里山の整備作業

日豪環境ボランティアプログラム報告 その3

10月25日(月曜日)
 この日は生憎の雨。それもかなり強く降ってきて作業するには厳しい一日でした。

里山の管理は定期的に手を入れないと、雑多な植物が繁茂して手に負えない状態になってしまいます。この日は、そんな状態になった川沿いの一角を整備することになりました。また、ここは白川郷の昔ながらの様子がわかるように作られた民家園の中でもあり、人手不足などから野放し状態いなっていました。

笹などが蔓延ってしまっている土地




雨の降る中でも、多くの人たちで一緒に作業をすると驚くほどあっという間にはびこった植物が片付けられていく。








作業とともに、最初は見えなかった川が現れてきた。






すっかりきれいになって見通しがよくなった
恒例のグループショット

里山の整備に必要な作業として、実施した作業でしたが継続することによってさらに里山本来に生育する植物が戻ってくるそうです。地元の人たちの手によってこの作業がきちんと継続して実施されることを願い雨の日の作業を終了しました。この後の温泉がどんなに嬉しかったことか、、、。

(日豪ボランティアプログラム報告はその4に続く、、、。)

白山国立公園の外来種駆除


日豪環境ボランティアプログラム報告 その2

10月24日(日曜日)
白川郷でのボランティアプログラムの2日目は、白山国立公園内でも利用者の多い白山への登山口大白川地域で外来種駆除を行いました。

石川県側から参加されたボランティア団体(環白山人)の方と一緒に登山靴や車のタイヤで運びこまれた種によってはびこった外来種(オオバコ)を根切りという道具を使って駆除。固有種のハクサンオオバコと交配してしまうことで変種が生まれるのを防ぐ必要があるということです。

外来種オオバコの説明を聞く

まずはやり方を教えてもらう

黙々と作業をする参加者

この日は週末ということもあり、家族連れで参加した地元からの参加者、関東地方など他地域からの参加者、そしてオーストラリアからの参加者が一緒に作業。登山口周辺は特に、オオバコが広くはびこり、この上を歩く登山客によってオオバコは登山道のさらに高いところまで運ばれてしまうため、ここでの作業は重要との説明を受けて懸命に作業をしました。

オオバコを除去したところだけ土が見える 



地面とにらめっこ状態の地味な作業ながら、一緒に作業をする仲間とおしゃべりしながらで楽しく過ごす。しばらく経つと見違えるほど、周辺からオオバコがなくなって感動。
私たちのボランティアの作業は小さな力かもしれませんが、こういう作業を通じて地域の自然環境を守るために地域に住む人達が協力しあうことの大切さを共有することができた気がしました。




(白川郷日豪ボランティアプロラムは、その3へつづく、、、、。 )