2010年11月10日水曜日

茅場を広げる作業で里山保全

日豪環境ボランティアプログラム報告 その4

10月26日(火曜日)
白川郷の茅葺屋根の家を保存していくために重要なのは十分な茅の供給と茅葺作業をする人。どちらも現在では激減し、維持が大変になってきています。かつては、秋の風物詩だった茅刈りの作業も、人手不足と茅葺屋根の家の減少から少なくなってしまっています。それでも、定期的に茅刈りを行わないと、茅場はどんんどん衰退してしまうのだそうです。

そこで、ボランティア活動の4日目は、初日に行った茅場を拡張するために、既に他の植物によって占領されている場所をいったんきれいに刈り込む作業を手伝いました。



作業を始める前に、どうしてこの作業が必要なのかの説明を受けました。





茅場は茅の獲得だけでなく、人と野生動物が共存するためのバッファだったということです。野生動物はこのバッファより中に入っては人間がいて危険とそれ以上立ち入らなかったのが、茅場が荒れて山の様相と変わらなくなると野生動物も自分の生息区域と人の生活区域と区別がつかなくなり、その結果、人家のすぐ近くで野生動物を見ることにつながるのだそうです。




かつて、里山では人が使うことで守られていた自然がありました。それが生活の様式の変化によって使わなくなったことで荒れてきてしまっている現実がありました。日本の自然環境はこうした里山を人の手を入れて守っていくことで、生物多様性を保持し、かつての風景を保全することができるのです。そのためには、里山を持続的に活用することも大きな課題です。

オーストラリアから参加したボランティアメンバーと

お天気にはどうも見放されている環境ボランティアプログラムでしたが、この日も雨にも負けず作業を行いました。気温もかなり下がってきてこの日の夜、白川郷の周辺の山では雨が雪に変わりました。

(日豪環境ボランティアプログラム その5へ続く)

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